医療アートメイクとは

  1. 問診票・インフォームドコンセントについて
  2. MRI検査について
  3. 色素の安全性について
  4. 化学療法前のアートメイクの効用
  5. アートメイク・タトゥーの除去(正常の場合)
  6. アートメイク・タトゥーの除去(アレルギー併発した場合)
  7. 18才未満にタトゥーを施術することは犯罪です
  8. Bio Touch社による医療アートメイク(フルリップ)施術

 

1 問診票・インフォームドコンセントについて

アートメイク術前の問診票・インフォームドコンセントとしては、以下の項目が含まれていることが望ましいです。クリニック選びの参考になさってください。

□アレルギーの既往についての問診
例)これまでに、お化粧品や金属でかぶれたりアレルギーを生じたことはありますか?

□アレルギーのリスクと万が一生じてしまった場合の費用負担についての説明
例)アートメイクで用いる色素によるかぶれやアレルギーは、稀ではありますが、起こり得ます。その場合の治療費は、体質によるものですので、お客様のご負担になります。

☆参考 問診で、お化粧品や金属でかぶれたりアレルギーを生じたことのある場合は、まず試験的に小さなエリアに施術し、3か月ほど様子をみてから、本格的な施術に入るのが現実的といえます。

 

2 MRI検査について

□MRI検査についての説明
例)MRI検査の際に、稀ではありますが、アートメイク部位が発熱して軽いやけどを生じることがあります。

MRI検査の際に、アートメイクやタトゥーの部位が発熱する理由は、磁場の変化によって、導体(電気を通しやすい物質)に渦電流が生じるというメカニズムによります。(電磁誘導の図)

従って、円形に輪を描くような形のタトゥーでやけどが生じやすいようです。 (MRIでやけどを生じたタトゥーの例) 対策としては、

1) 上下のアイラインにアートメイクが施されている場合、検査中は閉眼する(開眼しているとアートメイクは円形ですが、閉眼すると一直線になります)。

2) 検査中、目周りをアイマスクなどで冷やす。

3) 灼熱感を生じたら検査を中断する。

といったことが考えられます。 アートメイクが入っていることを理由にMRI検査が拒否されるべきではありません。MRI検査をしないことで病変を見落とすリスクとアートメイクによる熱傷のリスクを考慮して、総合的に判断することが重要です。

 

3 色素の安全性について

アートメイクは日本では医療行為とされています。しかし、欧米諸外国では、アートメイクは医療行為ではなく、メーカーの成分開示義務もありません。現時点では、各クリニックとも、そのような諸外国の製品をそれぞれが個人輸入して使用しているのですが、医療行為として考えたときに、決して安全性が十分に担保されている状況とは言えません。
もしも、クリニックのホームページなどで「使用する色素は100%安全です」と明記されていたら、それはメーカーや代理店の話を受け売りで記している場合が考えられます。

今後、現状の色素の安全性の評価と安全性の高い色素の開発が必要となります。

 

4 化学療法前のアートメイクの効用

癌で化学療法を受けると、眉毛まで脱毛してしまうことがあります。闘病生活は気持ちがふさいでしまいがちですが、そんなときに眉だけでもしっかりとアートメイクで美しく描かれていると、女性は少しだけ晴れやかな気持ちになれるでしょう。気持が前向きになることは、病気の治癒も早めてくれるはずです。

 

5 アートメイク・タトゥーの除去(正常の場合)

デザインに不満があったり、流行が変わったりして、修正・除去したいときには、レーザーで消したり薄くしたりすることが出来ます。ただし、レーザーには種類があり、色素の色に応じた波長の選択も必要です。また、色素の成分によっては黒色化してかえって目立ってくる場合もあり、経験と知識が必要です。学会では、レーザーやタトゥーの効率的な消去方法についても研究し、ガイドライン化を目指します。

 

6 アートメイク・タトゥーの除去(アレルギー併発した場合)

アレルギーを併発した場合の対処法としては以下のようになります。

1) ステロイド外用剤によって経過観察する(最近の日本のアートメイクは、タトゥーと異なり、通常2年程度で自然にも薄くなっていくように浅く入れるので、ほとんどの場合はこれで対処が可能です。ただし、ステロイド外用剤の長期連用による酒さなどの合併症が起きないよう、塗りすぎず、症状の改善とともに減量中止していく必要があります)

2) ピコ秒レーザーやフラクショナルレーザーが有効です。

3) 炎症が強く病変が肥厚している場合は、レーザーが色素まで届かず、無効なこともあります。そのような場合には、外科的切除も選択肢の一つになります。

 

7 18才未満に施術する場合には適応を是非の検討が必要となります

18才未満に施術することは、青少年保護育成条例に違反します。ただし、病気や外傷後等の再建目的で適応がある場合もあるため、医師の診察の上、適応を判断します。

 

8 Bio Touch社による医療アートメイク(フルリップ)施術


「腫れが少ない埋没法に組み合わせたアートメイク・アイライン」
(ダウンロードサイズ:13.4MB)

東京皮膚科・形成外科 総院長 池田欣生先生

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